夏の終わりに/高林 光
 
ったく落ち着かなくなったからだ。
 久しぶりに訪れたカフェは、以前と同じような落ち着きを少し取り戻しているようにも見えた。店内には小さな声で話をする二人の女性が、コーヒーを飲んでいる。
 カウンターの奥からは、シュッ シュッ シュッ というリズミカルな音が聞こえ、それがマスターの包丁を研ぐ音だとわかることが心地良い。
 頼んだアイスコーヒーを飲み終える頃に、足元が少し寒いなと感じる。
 そんなことで夏の終わりを知るのも、悪くはない。

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