夏の終わりに/高林 光
 
う娘の父親にありがちな嫉妬のような感情がまったく湧いてこないのに気づいて、何故だろう、とか考えたりもした。
 人が人を好きになる感情というのはごく自然なことで、例えば中学生だからとか高校生だからとか、彼がいるからとか彼女がいるからとか、アイドルだからとかミュージシャンだからとか、パートナーがいるからとか結婚しているからだとか、そういったことで抑えられるものでもないのではないか、なんて考えて、娘に対する嫉妬心のなさを理解してみようとした。
 付き合っている彼女に、「あなたの奥さんに好きな人ができて、それが分かったらあなたはどうするの」と聞かれ、ひとしきり考えた後で、きっと何も言わないんじゃないか
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