夏の終わりに/高林 光
 
 久しぶりに訪ねたカフェは、何も変わっていないはずなのに、やはりどこかが少し変わっているような気がした。
 玄関を入る前にマスターと目が合うと、マスターはガラスの向こうで小さく頭を下げた。僕のことを覚えているらしい。
 ここまで来る道すがら、僕は運転をしながら考え事をしていて、それは前回ここに来たのがいつだったのかしら、とか、次にここに来る時には、そうだ娘を連れてきてあげれば喜ぶのではないか、とか、そんな他愛もないことに頭をめぐらせていた。
 娘は今年高校一年生だから、そろそろ彼とこういうカフェでお茶を飲むなんてことがあってもいい。そう思ったのだが、考えながらふと、そういえば世間一般でいう娘
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