恋のようなもの/
ただのみきや
が視界いっぱいに広がって
ゆっくりと近づいて来る
その少し冷たい垂れ幕に指先から触れる
ように突き抜けて
薄暗い時の向こうへ流れ出す
ハリエンジュのさざめき
夜は抱き
冷気が濡らした
棘のある手で
あやす子供たちの幻
揺らめくあいまいに
喪失が遠く灯って
わたしはわたしへと帰る
道すがら薄闇に
佇む秋桜
また
懸想して
《恋のようなもの:2016年9月14日》
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