恋のようなもの/ただのみきや
風は奏で
光は描く
ハリエンジュのさざめきに
まなざしは戸惑い
優雅に失速する
水面に解ける止まり木
鳥は魚を続けた
裏腹に
なめらかに
時間には抜け道がある
探しても見つからない
あるのは徴
あるいは記号
無数にあるひとつが作用して
内側の戸が開く
窓からは絶えず波が
寄せて引いてを繰り返し
古い波と新しい波がせめぎ合い互いを打ち消し合った
止まり木にすぎない肉体
漂う流木を枕に
魚/鳥は見た
昼下がりと黄昏が溶け合うひとつの
幻の入り江を
《断片であり模倣
《現実の横顔は冷やかな黄金で
《取り立てる何もかも
一枚のフィルムのようなものが視
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