アウトリーチ/ただのみきや
素足をつけて
ぱしゃっ
ぱしゃっ
冷たい心地よさ ボーっとするほどの陽射し
ムルソーよ こんな日だったか
生憎ここ数年で一番のリゾート気分なんだ
親父のはしゃぎように彼は苦笑い
さそっても靴はぬがなかった
蟹か何かいないか覗き込む
彼が小さな頃は
蟹やら貝やら捕まえて見せてやると
目が輝かせ喜んだものだ
光に透ける産毛にはまだあの頃の面影がある
百八十センチのハンサムさんよ
おれは憶えている
死ぬまで忘れないさ
フナムシが走っている
「ダンゴムシ海へゆく」という絵本をよく読んでやった
あの本にフナムシもダンゴムシの仲間だって書いてあったな
「
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