並木道/もっぷ
らはおしなべて雑草ばかりだった。
その理由を少女に訊いてみれば、
「あたしのことばをわかってくれるから」
きっとこう答えるに違いない。つまり彼女はその家で、(当時は)内気な性格の、一人っ子だった。しかも名前は並子、どこか雑草と響き合ったのだろう。
話をスミレにもどすことにする。スミレは四季には在るはずがなかった。少女の(私の)記憶違いだろうか。この提案に納得するわけもない彼女は(私は)頑なに信じたいことがあった、庭はいつでも春だったのだという、そのことである。
その、春の庭にある時ボールが飛び込んできた、野球のボールだったのかあるいはもっと大きくて見つけやすいものだったのか。
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