さよなら憂鬱/葉月 祐
数ヶ月分の憂鬱を
ハサミでざっくりと
切ってもらった
日曜日は
夏の終わりの快晴と
秋の始まりの涼しさ
傷み始めた毛先の重たさは
心に感じるそれと
あまりにも似ていたので
この髪を伸ばしたかったという
ささやかな未練と一緒に
あの憂鬱な日々に
ハサミを入れる事で
わたしは 別れを告げた
抜けなかった毒素が
すっと消えた様に
心も体も 軽く感じる
足元を見れば
白い床に 茶色い憂鬱の跡
スッキリしない日々が続いた訳だな、
なんて、
ほんの少しだけ 驚いてみたりもする
帰り道
髪を 存分に風に泳がせて
わたしは深く
新しい空気を 吸い込んだ
首筋に直接あたる秋風が
とても 心地良い
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