南セントレア (離陸)/ベンジャミン
水平線を断ち切るように
僕らはときおり空を見上げる
加速してゆく時代は
小さな出来事をかき消して
紙の上の真実も風に飛ばされてしまう
渡り鳥が
故郷を忘れないでいられるのは何故だろうか
いつか
僕らが生まれた場所が
すっかり姿を変えてしまったら
帰る道を辿ることはできないだろう
海はその深さを隠している
空はその高さを誇っている
僕らは ずっと憧れている
それは
後戻りができない時間と似ていて
とても正しい
そして
どこか寂しい
海から飛び立つ飛行機を眺めながら
運ばれてゆく人を思うとき
違う高さを飛んでゆく海鳥の背は
けして重なることはなかった
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