山荘にて/ヒヤシンス
気が付けば四人で過ごす秋が来た。
まだ早すぎる落ち葉が山荘までの道に降り積もり
我らの道を優しくふさいでいる。
後ろには我らの足跡が刻まれている。
山荘に入ると、未だ夏の残り香がそこいら中に立ち込めている。
窓を開け放つと秋風に吹かれそれらは静かに消えていった。
まずは一杯。熱い珈琲を皆で飲む。気持ちが大らかになる。
久しぶりに揃ったみんなにいつしか緊張は解けてゆく。
そして自由が訪れる。
一人はテラスに出て、森の野鳥を聴いている。
一人は籐椅子に腰かけて本を読む。
一人は話したくてうずうずしている。
そして私はこの幸せな空間で夢を描
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