薄紅・青・黄金・白/葉月 祐
花が開き薫り溢れて
花びらおどり 心浮かれる
無色だった視界は 薄紅に染まる
人の心を穏やかにしていく
時にはその心 そっと狂わせて
最後ははかなさと共にゆらゆらと散る
木漏れ日に吹きつけた柔らかい風が
切なさに似た何かをこの胸に残して
春に降る雨が作る 波紋の様に
青葉は急かされる事もなく
目を覚まして 姿をあらわした
太陽の光をまき散らす様に
鉢植えの中には眩しい生命の芽達
様々な青色を反射させる 激しい熱と共に
若々しい息吹が葉を鳴らし 夏の知らせを届け
わたし達に一時の涼を運んでくる
あの日 わたしの髪を揺らしたのは
きっと木々の吐息の名残だっ
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