入り口/葉月 祐
 
真綿の様な柔らかい空気を
この身に纏いながら
穏やかな朝の中
坂道を自転車で走った

髪がなびいて流れていく

まだ微かに
陽射しは強くて
今朝の風は ほんの少し甘く感じた


赤信号で立ち止まり
ふと見上げた空は
広く 高く 深みを増した
青よりも深い青色
掴めそうに感じていた雲も
いつの間にか遠くへいってしまった

そういえば 今日は
朝とは言え
カーディガンを羽織って家を出た
用事が済んだ頃には
脱いでしまったけれど

そこかしこから
ぼんやり しっかりと
秋の気配がする


季節は立ち止まる事も無く
誰にも気付かれない様に

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