新生〇消滅/ひだかたけし
太陽を連れて来い
燃え盛る太陽を呼んで来い
俺のこの満身創痍の体を焼き尽くせ
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ミンミン蝉の死骸が歩道に落ちていた
アブラ蝉のそれは頻繁に見掛けるが
ミンミン蝉は初めてだった
羽は全体として透明で四つの等間隔の黒い斑点がシンメトリカルにあり
頭部は黒地にターコイズブルーに近い緑を散らしている
六本の足は静かに交差し折りたたまれている
僕の手の平に乗ったまま陽光を受けそのミンミン蝉の死骸は高貴に輝いていた
[わたしは生き切った]
その骸はそう言葉を響かせていた
アアイアイイイウア
その響きはそう木霊を反復していた
あ愛愛い
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