罪なき人々/atsuchan69
倹しき彼らの日々に罪はない
彼らは神へ祈り、
石釜で焼いた硬いパンを
よく砥いだナイフと太い指で割き
赤いワインを飲み、
仔羊の肉を食べて笑う
一日中、楽しく歌をうたい
好きな人と抱き合ってキスをする
そんな彼らの暮らしぶりに
――罪など、
あるはずはなかった
どんなに貧しくても子供たちは笑い、
大人たちを 心の底から歓ばせる
いつもの夜が永く星を吊るして
いつもの朝がその煌めく夜の帳を下して
遠いとおい地平線を薔薇色に染め、
夜の果ての薄暗い山々の輪郭が
ゆっくりと昇るひかりを背に現われる
明けの星は妖しい輝きを放ち、
ありふれた朝の調べに溶け込むように
やがて人々の知らぬ場所へと
声にもならぬ憂いをただひとつ残し、
その身をそっと隠す
子供らはまだ眠っていた
あけどないその寝顔に悪意はない
たとえ父や母が
あやまちを犯しても
その子らに、罪はない
それら無垢なる人びとに、
けして――
罪など
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