秋のはじまり/葉leaf
 

夏の間中じっくり眠り込んでいたものたちが
大地をぬぐうように冷たい夢を放ち始める
夢とうつつとが激しくこすれ合う中
秋の虫たちは生まれ秋の草たちは伸びる
夢が散り散りになって燃え果てていく
その燃えがらが至る所に飛び移って
もう二度と来ない出会いや
永遠の別れがどこまでも降り積もる
夢はそれぞれの世界を持ち
冷却された世界でこの世界を湿らせていく
この世の正義は緩やかに狂っていき
夢は不徳の炎として熟しすぎていく
この秋というささやかな夢の断片が
うつつの幻たちに美しい眠りを与えていく

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