北北東の風の夜に/もっぷ
 
午前三時は翼通貨の時間
懐かしいあの歌がほしくて けれど
私は帰りたいから 売るに売れないこの翼
もう一度、聴いてから 明日に行きたいのだけれど
三叉路が現れて そのうち一つは「昨日方面」
背後では橙色の灯りが誘う
私はついに
靴ひもを確かめて
海に向かって歩き出す
昨日へでも 明日へでもなく 橙色にも背を向けたまま


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