天上切符/成澤 和樹
闇から生まれた白い影
吸い込み走る
天国行きの粒線系555
−乗らなくてはなぁ−
*
煌く星座と視界を覆う 黒い枝々
根を張り出して影は襲う
茨の鎖に握られた 潰されそうな心臓は
闇と 森と 一本の木と
小さく笑う夜鳥のか細い声に怯える
畏れながらも
遠く遠のく意識の果てで
クチパク呟く名もなき詩
− 天上の低くなったこの世界から
夜空に押し潰されないように
産まれ還る 生まれ変わる −
そう決めたバース・デイ頃
きりきりと鎖が締まる 棘が痛む
*
終点遠く残し散乱し 弾けて消えた555
天上切符の泡礫を浴びながら
一番星より眩しい輝きを見つけたら
−そろそろ潮時だ−
全てが零れ落ちないように
眼と 耳と 口と そして心を固く閉ざして
古くなったイレモノから飛び出して
中座の為に 今一度
天へと昇ろう
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