ニュープラン/ただのみきや
くて どこか切ない
胸を詰まらせるような感覚が
何度も何度も寄せて来るのだ
開け放たれた窓から吹き込む春風のように
突然去来し
驚きつつも
ずっと変わらず傍に在ったかのように馴染んで往く
ただ幼子のように委ねて
浸りながら
干からびた涙腺に熱いものがこみ上げて来て
心はあのころの景色の中 呼吸している
懐かしい顔たちと共に
それは得難い
なにものにも代え難い体験だった
写真は全部で三十六枚あるという
ざっと目を通しただけでもそれらが大切な何かを呼び覚ます
自分にとって特別な写真であることが容易に理解できた
すぐに契約を交わして写真を購入する
代金は三日間の昏睡の後の死と死後の魂の所有権だという
《ニュープラン:2016年8月21日》
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