きおく/soft_machine
 

兄がいもうとをおぶってはしる
空にくるさいごの夜にてらされ
町や人を巻きおおう紅い霧がまう
木と紙の家をすばやい蛇がはう

あけて通りには誰もみとめない
ぬがれた帽子の散らされたかげ
炭化分解されるむらさきの礎石
かわいたノイズを発するラジオの鉱石

人が時におかすとりかえしのつかぬ記憶
おそれの跫音が深くしみた伽藍が落ちる
閃光にくだかれためざめ

夢の火の雨も降りやまず
風鈴がまたひとつなりやみ静かに割れた
魂は灰となっても地下にくすぶっている









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