ノート(浪)/
木立 悟
海のすぐそばを通る径に
崩れかけた廃屋があり
それを覆うほどの大きさの
汚い布が何枚も
何枚も重ねてかぶせられていて
浪や風が来るたびにひるがえり
がらんどうの廃屋の内部を晒している
径は廃屋をすぎるあたりから坂となり
途中には自転車に乗った男がいて
激しくひるがえる布と押し寄せる浪を見つめている
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