夕空の下の道/もっぷ
さよなら自分
こんにちは自分
歌っているのは夕空の下の
いまだあの頃 雁行を見上げながら
誰に向かって いつに向かって
泣いているのはやっぱり自分
忘れられない
忘れないから
そう言いながら何通もの遺書を
彼女に託して困らせてきた
さよなら自分 は今日への挨拶
こんにちは自分 は明日を夢みて
家路をたどる後ろ姿はひたすら今夜のシチューを想って
教えなければよかったのは
雁行 という言葉
六歳にとって夕空の鳥に
渡る姿以上が必要だったか
しってしまった 雁行 を携えて
今日も彼女は
さよなら自分
こんにちは自分
家路をたどる後ろ姿を決して振り向かせないのは 私
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