Avenida 68 (藝術としての詩・続)/天才詩人
 
Lと出会ったのは、まばらな枯れ木が散らばる空地が豊かな森に変わる、街のはずれの小ぎれいなパン屋だった。そのパン屋で、僕は毎週土曜日、夢のようなケーブルを敷設するプランについて話す場をもつため、大勢の客を招いてミーティングを開いていた。大きな常緑のプランターがならぶ窓から鈍色の午後の日がこぼれる、つややかな白い2階のフロアで、エンジニア、学生、服飾デザイナー、それから町の安宿にちょうど居合わせた外国人旅行者など、いろいろな職業や国籍の参加者が、部屋の四つ角に配されたテーブルを囲み、意思の疎通を図った。僕らは、各自が発音する単語を一つ一つていねいに厚いボール紙の表面に記入しながら、日ごとの参与観察のデ
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