闇と盃/ただのみきや
 
く目もなく見つめるもの

瓜を割く
あおくさいわたをぬく
湿度が生き物みたいに纏わりつく

朝よりも白く蛾は震えた
生死は入り混じり汗ばんで
嗤う顔
なみなみと注がれた盃に

意図もなく匂う
しゃれこうべ百合のよう
そっと紐をほどき

覆された盃よ
何処で眠るのか――
目を凝らさず闇は闇のまま





            《闇と盃:2016年8月17日》









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