さらさらと ゆく/葉月 祐
 
られているけれど
それはどうでも良くなっていた


今夜の夜の匂いが
僕の中の靄も 全部さらって行った
それだけでも
とても素敵な夜だった

空気はまだ湿っているけれど
心は軽やかで 心地良い
こんな楽しみ方もあったんだな


帰り始める家族連れの
話し声や足音を耳にしながら
僅かに残るその匂いを感じて

もう一度 確かめる様に
僕は深く息を吸う
夏の終わりの空気で 静かに体を満たした





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