綺麗な言葉だけを身に付けて世界を歩けばいい/かんな
 
を告げ終えたそして
どこかにある巣穴で羽を休める
休むことの素晴らしさに身を置けば
この朝もやは消えずに
世界を包んでくれる

忘れるんだという
霧の中に身を隠して暮らす
万年筆とインクと洋紙だけ持って
蔦の絡んだ邸の部屋で
繰り返し繰り返し性の描写を書く

綺麗な言葉だけを身に付けて
世界を歩けばいい 裸の王様になれる
誰もがどこを歩いているのかわからない
自分が誰なのかもわからないから
言葉を吐くことを諦めない

朝焼けが消えた空に
巣穴から飛び立った鳥たちが消えた



戻る   Point(4)