綺麗な言葉だけを身に付けて世界を歩けばいい/かんな
を告げ終えたそして
どこかにある巣穴で羽を休める
休むことの素晴らしさに身を置けば
この朝もやは消えずに
世界を包んでくれる
忘れるんだという
霧の中に身を隠して暮らす
万年筆とインクと洋紙だけ持って
蔦の絡んだ邸の部屋で
繰り返し繰り返し性の描写を書く
綺麗な言葉だけを身に付けて
世界を歩けばいい 裸の王様になれる
誰もがどこを歩いているのかわからない
自分が誰なのかもわからないから
言葉を吐くことを諦めない
朝焼けが消えた空に
巣穴から飛び立った鳥たちが消えた
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