ホンネ/曇った窓/桂
それとも俺がすべて飲み干すのが先か?
もしも俺とお前が混じり合うことなく温度差を感じる関係だとしたら...
曇った窓を軽く拭くと
雪が降り積もっていた
ほんの少しだけ窓を開けてやってもいい気がした
鍵を外して窓をあけると
部屋に冷気が入り込む
外と同じ温度になるのを待って
飲みかけのミネラルウォーターみたいに飾り気のない
本音を吐いてやった
それに対する返事は意外だった
「俺もずっとそう思っていた」
驚いた俺は窓を勢いよく閉める
グラスに入ったウイスキーを手に取ると
まだ溶けきれずにいる氷が小さく浮いていた
可哀想な氷に笑って呟く
「あともう少し」
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