氷の散弾にブルーハワイ/
ただのみきや
崖だ
もろい言葉の向こう側だ
風鈴のような歌声が誘惑する八月のことだ
野生の蘭が陽射しに捻じれてクスクス笑っていた
ダンテのように美しく捏造された地獄のことだ
数えきれない始まりの何一つ終わらない飽和と破裂のことだ
ある朝の発芽が
なにかから意味を剥奪した
それが八月の詩だ足の爪に描かれた海の青さだ
理由なんかないあっても書かない
見えるか 静止したカモメがそれだ
《氷の散弾にブルーハワイ:2016年8月13日》
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