破片/伊藤 大樹
 
何もかもがたやすく朽ち果てる朝に
いつもと変らず追憶のトーストを焼く
悲しむだけの余地に
骨は散らばる

芽を摘む
わたしたち 悲しいくらい温かい
目の眩む速度でそこなわれていく
わずかに遠い柔らかな夕方

わたしたち 目を凝らさなければ
たちまち裂かれてしまう
あの不遜でかがやかしい〈生(ヴィ)〉

いつかわたしの涙も降る雨や積る雪になる
陶器のなかのたくさんのあなたの破片の
あまりに生々しい重さ
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