番号は予感に眠れ/乾 加津也
 
番号


まとわりつく、鉛色の
番号たちを集めて燃す儀式
ながい鎖が一筋、見あげて残る
個の人に成れ

番号に生まれたわけではない
番号になりたいわけでもないだろう?
番号は美しく、みんなで整然、足掛かり
便利ね

生きよう
いや
生きることについてか
ことさらに不便なことが
細胞(ぼく)は楽しく
おかしい





眠れ


だれもが眠る
いずれ私も眠りについて定義しなければならないのだろう
ただ、眠りのまえに
それができるか
眠りにおける、一日の疲労とは何か
昏睡とは何か
意識とは何か
暗の中で時が過ぎ
意識が薄れるとは何か
[次のページ]
戻る   Point(6)