さけとばのよる/藤鈴呼
ほそく か細く 連なっていくかのような糸が
ゆっくりと 紡がれて
袂を 分かつかのように
空に 唾を 吐きかけた
突っ掛けも できず
すっ転ぶほどまでには
凍結も しておらず
この時期と いうのは
実に 曖昧だ
世間では もう
大掃除の 時期らしい
常軌を逸した 我等の正月は
今が 本番とばかりに
やれ 本榊だ
それ 南天だと
探し回る
我等は 犬
橇は 木製で 出来上がっておるので
奇声を上げることなぞ 許されませぬ
帰省する場所なんて 端からあろうもんと
おちゃらける
切っ先の鋭さばかりが 一流
張子の虎よりも
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