息子という君/かんな
 



「食べる」

早朝から釣りに行った夫が、すずきを一匹釣ってきた。
君は大喜びして、おさかな、おさかな、と言った。
水面をパシャパシャとのたうち回った姿はまだ想像できないかもしれない。
台所で夫がすずきをさばき始めると、
おなかな、切ってるよ、パパ、切ってるよ!と大騒ぎした。
一匹のお魚はこうやって形を変えられて、にんげんに食べられるんだよ。
君はマリーゴールドが好きだけど、
例えばマリーゴールドだって品種改良されて、
エディブルフラワーとして明日の食卓に並ぶかもしれない。


「描く」

絵を描いてごらん。
君はよく、これは茶色、これは青、これは水色と色
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