花火/ただのみきや
 
ビ堪=こら}えている眠るまで
真っ黒い驟雨となり
魂の奥深く浸透したくて
夜のこどもたちが
昼間も夢を見られるように
いま断末魔の蚊が見ている幻が
いつかの人の見る夢でないのなら
その時は花火を上げよう
正々堂々と
たぶん他人からは理解されない
大義や理想の周りを人工衛星のように
屍を晒しながら
そんな人肌よりも冷たい戯言が
抱き枕
火の粉降る夢




              《花火:2016年8月3日》








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