自信がない/花形新次
 
被害者やその家族はともかく
俺を含めた障害者の家族が
サガミハラ聖斗を
強烈に非難できない理由は
こいつもこっち側の人間ではないかと
思っているからなのさ

殺したいと思うのと
実際に殺しちゃうのは
全然次元が違うし
ましてや自分の手でとなると
もう、これはまともじゃないっつうか

本人はそう思ってねえんだろうけど
本人が自覚してたら
半分は治っているか
治る見込みがあるかの
どっちかだと俺は思うしよ

つまりさ
ジレンマに陥ってるわけなんだけど
それを回避するには
やっぱ
単に犯した罪に向き合う他
ないんじゃないかと思うのね


違うかな?
自信ねえな

(正直に言うと
こんな大それた
事件ではないにしても
俺たち家族はいつ被害者だけでなく
加害者側になりはしないかと
心配していたりするんだよ)









戻る   Point(0)