ハピネス/かんな
 
朝起きる。
新聞配達のバイクがハーモニィを奏でて
ポストに投げ込まれる
合図はわたしをきちんとコーヒーへと導く。
隣でしっかり布団に収まる夫に
声をかけるとううーんとうめいて夢に戻ってしまったが、
息子がその上にのしかかった。
毎日にこうやって朝がきて、
私はコーヒーと息子の麦茶を用意する。
すこし怖いのだ。
しあわせは何かを怠ったとき、すばやく姿を消してしまう。
あなたもしあわせを想像してほしい。
わたしはいつも怯えている。
独りぼっちの絵の中にわたしが入り込んだように
抜け出せずに塗りつぶされるのを待つように
コーヒーを飲もう。
麦茶を飲もう。
ごくごくと喉を
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