嵐の予感/木屋 亞万
夏はなぜ暑いのだろう
やさしさを失っていく熱風に
焼かれながら日陰の枯れた道を行く
墓の周りには
もはや草であることをやめ
木に仲間入りした太い雑草が
狂ったホウセンカみたいに
ニョキニョキとのびており
草を抜き切る前に
腰が抜けそうなほど
いつか大人になって
社会の役に立つ人間になれと
言われるたび心の中で
お前はどうなんだって唱えたが
ついに言い返すことはなく
墓の彼方へ旅立って行かれた
人間の役に立たない雑草は抜かれ
曲がって育ったキュウリは捨てられ
無名の魚は雑魚として処分され
飼い主に捨てられた生物は殺され
あるいは野に放たれ生態系をぶ
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