さよなら、/
中村 ながる
さよなら、
つぎの空白を飲み込んだとき
少女の手から赤い風船が飛んでゆく
ひゅるり 風に吹かれて
ぱちん 弾けてしまう
わたしたちの知らないところで
いつからだったんだろう
いつからだったんだろう
わたしもあなたのまね
いや あの時あなたはわたしのまねをしたの
さよなら、
つぎの空白を飲み込んだとき
少女の瞳から涙が溢れてゆく
さよなら、どうかお元気で
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