藝術としての詩 続/天才詩人
 
その年のクリスマスや新年の前後数日間は、Aの家族や親戚たちと過ごした。灰色のコンクリートの家々がならぶ、未舗装の路地の両側に、電熱線を用いたクリスマスのデコレーションが、毎晩点滅した。見捨てられた家屋や廃材が置かれたその土地の奥には草の生えた空き地があり、路上生活者たちが集まるので、そこには近づかないように、俺はAの家族にたびたび注意された。夜が更けると、親戚たちが車で次々と到着し、彼らの家への挨拶めぐりが始まった。90年製の赤いマツダ車は、イルミネーションが踊る、高地の冷えた夜の国道を、低所得者層向けの住宅地や、打ち捨てられた鉄道操車場の横にに広がる、建設中の高層マンションの敷地へと走った。Aは
[次のページ]
戻る   Point(1)