くう慕情/秋也
 
砂の羅列
土埃舞う
少女のスカート
紺色の切れ端
幾星霜
水気を徐々に含みながら
営みというにはあまりにスローで
一回の瞬き
菩薩の腕
老いた人のようにひび割れているのに
優しく温かく
甘露へ胎動し喉を鳴らす
あの時変わらず蝉も鳴き
夏を思う
いつになったら溢れるのか
途方に暮れ行く空

満たされているのに味のしない夕焼けなんて
こんなに暑く赤いのに
なぜ甘さが口に溢れない
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