月の村/AB(なかほど)
 
が沈む頃
月が出るのを待っている
廃線脇で
次の電車と月が出るの待っている
虫の声と踏切りの音は
いつまでも
凸凹配位座で鳴り続けている


まだ当たり前のように
季節には穀物が実り、スクが浜に、人に感情が
まだ当たり前のように
月は空に

そんなにありふれてもらっても困るのだけれど

目を閉じた世界では
凸凹配位座はいつまでも漂っていて
地球のちぎれた塊でしかない月との合間にも
繋ぎ合った手のひらの合間にもある
そしてまだ当たり前のように
僕らの細胞のひとつひとつにすべりこんだりもする

    
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