手の上の血飛沫/
坂本瞳子
右手の甲に
血飛沫が一滴
すでに乾いていた
この小粒の一滴
どこで付いたのか
いつ付いたのか
両腕を確認し
鏡に見入り
全身を確認してみる
どこにも傷口は見当たらない
痛みもない
負傷してはいないようだ
さっき行き違った人のものか
天から降って来たものか
皆目見当がつかない
だからといってどうしたものか
舐めてしまおうか
毒は混じってないだろうか
どこかにこすりつけようか
誰かになすりつけようか
まあこのままにしておくか
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