夏と雨の短詩・五編/ただのみきや
 
  温雨


雨に洗われた
針葉樹の隙間から顔を出し
ヒヨドリは不思議そうに首を傾げる
蟻の休日
うつろな目をした夏






        一緒くた


      傘骨が折れた
      煽られたのではない
      真向から打ち負かされたのだ
      もはや隔てるものは何もない
      雨・風・人 一緒くた






  幼稚園バス


幼稚園バスが坂を下りる
凸凹でちょっと揺れる
こどもらもちょっと揺れる
角をまあるくまがって行く





   
        ルリシジミ


  
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