夏を塗れ/天才詩人
クレーンの星空にのぼる窓にちりばめられた
いくつかの人影に、僕はいつも奥へ奥へと手を引かれていく
人々の隙間に傷を負った無数のショルダーバッグが
日々を通り抜けて、朝日に焼かれ
サウンドマシンの低い音に目を開ける
臨海地帯を走る電車の曇りガラスから滲みだす
8 月の鉄塊が、空を黒くドリップする
日々のありかたが、僕の飲み干すことのできない
光に満ちた食卓で、歯を立てる
日々を滞留させる場としての
テーブルを、突きつけている。
そのようにして、生きてきた
そうして、いくつもの時間を、僕は散財した。
ありかたは、立ち上っていく。連接を掲げながら、
上へ、上へと。そし
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