絶望の希望はただ乾いたピストルの音/
ただのみきや
古いガラスのように蒼ざめて鳴り響く
――あれは なに?
掌の海から跳ねる両目を失くした魚
それは
テノヒラ 温かすぎる子供のテノヒラで
弱り果て 崩れてしまう
常夜の 天使の
それ は
苦痛と悲哀の秘匿
日時計のように黙々と 光に打たれながら
ただ影の中を静かに 流れる
眼差しの冷たすぎる夏
――あれは だれ?
なんと呼んだらいい?
遠く逃げ水を横切ったカモメのような白
それ は
[
次のページ
]
戻る
編
削
Point
(6)