真赤な太陽/るるりら
 

   太陽の匂いが漂うんです
   懐かしいあの土手沿いの道の一画に


   両手から
   はみだしてしまう大きさの
   おおきな亀裂のあるトマト
   とうさんが トマトの真似をして
   「やくざもんのトマト」と言ったのが おかしくて

   七月の風に
   とうさんの くつをはいて
   ぶかぶかな足で かけだして 
   あの庭の あのトマトを
   がぶりと やる

   トマトをみかけるたびに
   トマトの太陽が のぼるんです

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