THE COLD WAR/天才詩人
Please record your message after the beep・・・居間でご飯茶碗がぶつかる音がする。箸でごはん粒をくっつける。腕。半袖の腕。まくった腕が風鈴と、割烹を着た母と、扇風機がしずかな風を送っていた8月の昼と。カキ氷屋の前で子供を負ぶっていた、ランニングシャツの男の姿と、振り返った老婆の顔にきざまれたしわの。ひとつひとつ。スクリーニングしろ、スキャンしてカット・アップして分析しろ。僕は熱線で雷木のようにいく筋もの分岐となって空に。割れる。ゆっくりと温度をあげる。静謐する。 公園の。埋め立てられた池の、熱くなったコンクリートには小さな腕が佇んでいる。
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