続・日曜は父親と遊園地に行こう/モリマサ公
幸福だった
あれから10年
イースターエッグは沈黙しつづけ
赤ん坊はチック症の少女になった
地上ではいくつかのテロが成功し
大きな災害がおとづれ
たくさんの命が奪われた
我々はまだ生きのびてた
そうして物語は
あらかじめ用意されていた過去になろうとしていた
文字になって定着していたフィクションが
書籍や電子書籍のなかから飛び出し温度をともなって
ノンフィクションになろうと意気込んでいる
朝日がリビングのカーテンの裏側で光りはじめる
ミュートされたテレビのアナウンサーの口が動いている
ぼろぼろに破壊しつくされた瓦礫の上を
センチメートルで情報にする
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