君の欠片/坂本瞳子
 
君が通りすぎたとき
羽根が一枚落ちた

真黒な羽根は美しく
光を放つほどだった

僕は心配したけれど
君は痛みを感じていなかった

僕が羽根を拾い上げても
君は驚きもしなかった

そんなもの捨ておいてくれと
笑顔を残して去って行った

でもきっと知っているのだろう
僕は今も大事に持っているよ

戻る   Point(2)