思考シ.09/ひだかたけし
 
サンダルに小石が入ったので
右を脱ぐ、裸足歩道の上に
途端、俺は声上げる
うわっ 熱っ!

いよいよ猛暑襲来に意識朦朧と
短パン、Tシャツ、サンダル姿で
ドトールへふらふら向かっていたのだが
な なんなんだっ、生身に伝うこの熱さは!



朝から夏の太陽に焼かれ続け
歩道のアスファルトは
じりじりと足裏伝い
俺を剥いでいく

快感だ、陶酔だ、この灼熱は
俺の此処にしっかり在るを
その実在感を鮮明に意識、
感じ 理解し 認識し

瞑った眼の奥に
鐘の音、一つ鳴り
次第に渦巻き螺旋音階
紫藍の像の旋律、形造る

響きながら在るわたし
(楽器としてのわたし)
私という存在像の木霊して
奥処から在るの骨格、歌を成し



ふっと目を開ける
俺が草むらに倒れている
臨界点を超えてしまったらしい
けれどあの歌は未だ残響している

    あぁおぉうぅ
   あぁおぉ あぁいぃ       
    うぅえぇうぅ
    
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