grotesque/opus
 
女の子が声を掛けてきた

時々、その子と
ファミレスでご飯を食べて
カラオケに行って
近くの山に登った

僕はその時すでに
妹を犯した男の居所を知っていた
僕にとって人生の目的は
男を殺すことだけだった

山の上から
街を眺めながら
彼女が言った
「私、貴方のことが好きみたい」

僕は男を見つけると駆け出した
紙袋から包丁を取り出すと
それを男の腹に刺した

抜いて、刺して、
抜いて、刺して、
抜いて、刺して、
抜いて、刺して、

途中で疲れて前を向くと
そこには遠巻きに眺める人々がいた
ある人はスマフォで動画を撮っていた
ひどくムカついて
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