歌/葉leaf
から離れなくなっているのは机上に置かれた静物の歌。静寂が静物の表面で変形しては生々しい呻きになる。真空が静物の内面で破裂してはういうしい笑い声になる。室内の白光が静物に注ぎ込んでは群衆のざわめきとなる。この牛の頭骨はいったいいくばくの人間の声を気づかれることなく録音してしまったのか。
今頭から離れなくなっているのは限りなく遠くへ逝ってしまったかつての歌。すべて新しく降ってくる歌は実はかつても一度流れた歌で、それが限りなく大きな輪を循環してくるのである。輪廻転生が古い歌を新しい歌へとつなぎ、歌の死生の度に繰り返される激痛が、脈拍として歴史を通じて太いリズムを維持する。
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